2009年10月16日

可愛い可愛い私の――2



追記からどうぞ!

ついでに拍手に小ネタを1ついれました


帰ってきたあのこ





いつのまにか知らない匂いをつけて帰ってくるあのこ






だめだよ? だめなんだよ?





あの小さくて柔らかく甘い身体は私だけのものなんだから





だからね






つけるの





私のものだという証を







たくさん、たくさん











可愛い可愛い私の――2








「ただいまー」


大きなドアを開き明るい声で入っていた。
入ると二匹の綺麗な金色の毛色と黒色の毛色の犬が駆け寄ってきた。


「わんわん!」
「わん! くぅーん・・・」
「ただいま! ん〜、いい子にしてた?」

ぱたぱたと尻尾を振り、遊んで遊んでと言わんばかりの勢いだったが、賢いのだろうアリサを倒さないよう我慢している。
そんな二匹をわしゃわしゃと頭を撫でたり、首の下を撫でたりした。
二匹は気持ち良さそうに目を細めている。


“さて、と。あの子はどこにいるのかしら・・・”



二匹の犬を撫でながら、別のことを考えていた。
その時。



――しゃらん、しゃらん



涼やかな綺麗な音色が響き渡る。
いや、響いたというより、囁く、そんな感じだった。
その音色が聴こえた途端。




背中にふわりと暖かな温もりに包まれた。
視界の端に青藍色が見えた。
見えたと思ったら耳の傍でにゃあという鳴き声が聴こえた。




「おかえりなさい、アリサちゃん」


振り向くと目を細めてこてんと首を傾げながら言ってきた。
同時に先程の綺麗な音色が鳴る。
見た目は15・6歳の人間だった。雰囲気は大人でもっと上かもしれないが、顔にはあどけなさが残っている。
けれど、人間とは違う。何故なら。
頭には2つの三角形の柔らかそうな耳がついており、腰の辺りからは、細長い尻尾がついている。
尻尾はゆっくりとゆらゆら揺れている。
アリサが口を開こうとした時、ちゅ、ちゅ、とキスの雨を降らした。
額、頬、耳、鼻頭、目蓋。ありとあらゆるところに降らした。最後にアリサの可愛い唇に近づけた、その時。
アリサは顔を紅くして、怒鳴る。




「もう、いつも言ってるでしょ! 背後から音もなく抱きつくのはやめなさいって! しかも、キスはするなって!」
「うん、ごめんね? でも、外国ではするんだよね?」
「外国はね! でもここは日本、外国じゃないの! わかった?」
「うん」
「・・・・・・全く、次は気をつけなさいよ」
「はーい」



いつもこのやりとりで始まる。
怒って注意をするが笑顔で謝るので反省しているかも分からないが、注意をしないときがすまない。
しかもキス、頬や額などは許すが流石に唇は駄目だ。なのに、毎回してくる。
けれど相手はこのやりとりを楽しんでるようだ。
とりえず、アリサが一息つくと、相手を見て



「ただいま、すずか」
「おかえりなさい、アリサちゃん」




このやりとりで終わる。



バニングス家は親子共に犬が大好きなので沢山の犬が大きな庭に放し飼いされている。
沢山いるがどの子も手入れがいき届いており躾も完璧だ。
これは全部アリサがやっていることだ。両親は仕事で年に数回家に帰られるかどうか、そのぐらい忙しい。
故に全部アリサがやらなくてはならない。
勿論メイドは沢山いるが、やりたいものやするべきものは全部自分でやる。それがアリサのやり方だ。




「部屋に行くわよ」
「うん」



それを言うと、足元にお座りの状態で待っていた犬たちはアリサが「Go」と言うと真っ直ぐに庭に繋がる扉に向かっていった。



「そろそろクッキーが焼けるって言ってたよ」
「そ。それじゃ、明日は休みだし宿題も無いからゆっくりするとしますか」
「うん!」




明日は休み。
それを聞いた途端すずかの顔は花が咲いたかのように明るくなった。
同学年の子供たちに比べたら、アリサは習い事が多く塾や学校の宿題もあるのであまりゆっくりする時間が無い。
だから貴重なのだ。アリサにとっても、すずかにとっても。





階段を上り沢山ある扉の中でも一番奥にある扉へと歩いていく。
その扉には“Arisa”と綺麗な文字で書かれたプレートがかかっていた。
入ると一般的には大きいと思われる部屋に、これまた大きいと思われるベッドが目に入る。
真っ白なシーツに柔らかなココア色の生地に黒のチェック柄の布団。同色の枕。
枕元には赤や緑などの大きいクッションや小さなクッションが置かれていた。
窓は大きく見晴らしがいい。天気が好いときなど窓を開けると心地好い風が入ってきそうだ。
窓の近くには勉強机が置いてある。本立てには小学生の読むような本ではなく中学・高校が読む本が並んでいる。
真ん中あたりには、友達が来た時や部屋でお茶をするための小さなテーブルが置いてある。
扉を開けすぐ右を向くとクローゼットがあり、いつものように開けて着替えを出して普段着に着替える。
クローゼットの中は既に秋物の服に変わっていた。
ちなみに今のアリサの服装は、赤と黒のチェック柄のシャツワンピースに黒のレギンス。
すずかは青と黒のチェック柄のシャツワンピースに黒のレギンス、とアリサと色違いだけの服装だった。



「んー、気持ちいい」


ぼふっ、とベッドの上に倒れこむ。



「ふふ、お疲れ様。はい、クッキーと紅茶貰ってきたよ」
「ありがと」


すずかはメイドからクッキーと紅茶を載せたトレーを貰い、テーブルに置いた。
尻尾がゆらゆらと動いている。何だか嬉しそうだ。



「美味しいわね」
「うん、あ、こっちのクッキーは自信作だって」
「へー、・・・うん。他のクッキーより味とかさくさく感がいいわね」




美味しそうにクッキーを食べてるアリサを見ると本当に自分も嬉しくなり幸せになる。
・・・・・・けれど。



「アリサちゃん?」
「んん、どしたの?」


頬張りながらこっちを見るアリサは可愛らしい。リスみたいに。


「嬉しい事でもあったの?」
「・・・・うぐっ!」
「だ、大丈夫!?」



言った途端、アリサが喉に詰まらせたのだろう、苦しそうにして、背中を擦り紅茶を飲ませた。



「な、何で急に・・・」
「だって・・・、何だかいつもより、明るいというか、本当に嬉しそうにしてるから」
「そ、んなこと」
「あるよね」



何故か嘘がばれたかのように慌てていた。既にそれが答えだった。
というより、大抵“こういうとき”は分かっている。
アリサちゃんが帰ってきて抱きついた時から“あの匂い”がついていたのだから。



「久しぶりに逢ったんだね」


ゆらりと尻尾が揺れる。


「いや、はやてとは・・・」
「“はやて”さんに、久しぶりに逢ったんだね」
「・・・・・あ!」




自分が墓穴を掘ったことに気づき真っ赤になりあわあわと落ち着きを失くした。学校や外では滅多に見られない慌てっぷり。
そんなことに少しなからず優越感を覚える。・・・・“あの人”の前でもこうなるのだろうけど。



「っていうか、よく分かったわね」


呆れたように言う。照れ隠しも含んでるのだろう。



「アリサちゃんのことなら何でも」


にこり、と微笑いゆらりと尻尾を揺らす。
アリサはぶぅっと頬を膨らませクッキーを口に入れる。少し顔が笑う。




「アリサちゃん、食べ終わったらお昼寝、しない?」
「お昼寝っていう時間じゃないけど」
「んと、じゃあ、なんて言えばいいのかな?」
「・・・・さあ」
「言い方は別として、どう?」
「んー・・・・・ま、たまにはいいかもしれないわね」
「やった」
「珍しいわね、いつもなら遊ぶか本を読むかなのに」
「えへへ、今はなんだか寝たい気分だから」
「ふーん、ま、いいわ。さっさと全部食べちゃいましょ」
「うん!」




いきなりの提案に驚いたもののあっさりと承諾した。
すずかが珍しく、遊んで構ってではないからたまにはいいでしょ、と思い承諾したのだが。
それがいけなかった。
何とか全部食べきって、すずかがトレーを部屋の外に出した。
さて、寝るかと思い、薄手のシャツにハーフパンツに着替えてベッドに潜り込もうとしたその瞬間。



ばふっ、と後ろから大きなものがぶつかった。
ぶつかったという表現は多少語弊があるが似たような感覚だった。


なに!? と身動きが取れないので顔だけ振り返ると、いつの間にかアリサと同じような薄手のシャツとハーフパンツに着替えたすずかが抱きついてきた。




「ちょ、ちょっと!? 何してんのよ!」
「何って・・・寝るんでしょ?」
「いや、だから何で抱きついてるのよ!」



振り返ると背中にぐりぐりと顔を押し付けているすずかが目に入った。尻尾の先がくるくると回っている。



「にゃぁ」
「こ、こら・・・っ!」
「みゃ」
「・・・・っん」



アリサの背中に押し付けていた顔を、首筋に埋めた。鳴き声もあげたので、吐息などが首筋にあたる。
すう、と息を吸い込むとオレンジの香りと金木犀の香りがする。
アリサとすずかは同じボディーソープやシャンプーなどを使ってるから、自分も同じオレンジの今は匂いがするんだろうと、思ったが、金木犀は違う。
学校からの帰り道やこのバニングス家の周りにも金木犀の木はあるが、こんなに匂いがつくほど外にいるのは珍しい。外で遊んだりするのは別だけど。
つまり、匂いがつくほど外にいるようなことがあったのだ。
そんなことができるのはただ1人だ。



ころり、とうつ伏せだったアリサを仰向けにする。
当然、第三者が見るとすずかがアリサを押し倒しているようにしか見えない。





顔と顔が近い。お互いの瞳と瞳が、吐息と吐息が交わる。
柔らかい身体をこの身体全体で抱きしめる。それだけじゃ足りない。
もっと。もっともっともっと。
アリサの吐息を。熱を。全部。閉じ込めるように。
“あの人”の匂いが消えるように。忘れて私だけの匂いを覚えさせるように。





アリサの視界には青藍色でいっぱいになる。
その色と同じものがゆらゆらと揺れている。
すぐ傍には三角形の耳もぴくぴくと動いている。




すずかに抱きしめられ、頭がぼうっとする。すずか独特の匂いだろうか、甘い匂いが肺の中でいっぱいになる。





“前にもこんなことがあったような”







頭の中でぼんやり考えていると、胸の辺りでまたぐりぐりと頭を押し付けていた。
そこで、はっとなる。





「ちょ、こんなんじゃ寝れないでしょうが!」
「んー、やっぱり寝るのはやめようか」
「あんた・・・っ!」
「今は」




目が細められる。
ゆらりと尻尾が揺れる。





「アリサちゃんにいっぱい甘えたいな」






みゃぁ、と可愛らしい鳴き声が聴こえるとちゅ、とアリサの真っ白な頬にすずかの桜色の唇が降った。
慌てて逃げようとするが如何せん、体格と力の差が違い過ぎる。
時既に遅し。
こうなったすずかはもう止まらない。止められない。
たとえそれが“飼い主”であっても。




夕飯ができましたた、とメイドが呼びに来るまでずっと、すずかはアリサの上に覆いかぶさり至る所にキスの雨を降り注いだ。





最後には真っ白な首筋に吸い付いた。











大きな屋敷。
西洋風の門をくぐり、屋敷の玄関までの道には色とりどりのお花に、大きな庭。
玄関の扉を開くと、数人のメイドがお出迎えしてくれる。
高い天井に綺麗に装飾された壁や柱。
お洒落な花瓶。大人数でくつろげるソファー。2階へ続く階段を上るといくつもある部屋の扉。
その中でも一番奥にある部屋の中からは、女の子の声と猫の鳴き声が聴こえてくる。








それは、楽しげで嬉しそうな、甘い甘い声が聴こえてくる。











果たしてそれは、“遊んでる”のだろうか――







知るのは女の子と猫にしか分からない














あとがき
お、終わった・・・・
なげーよ。書いてて投げ出したかったよ。長編書いてる人すごいよまじで
なーんだかはやてさんをもっとだしたかったけどむりでしたごめんねはやてさん
また書き直す可能性大
でもしばらくは拍手の小ネタでも考えようかしら(`・ω・´)


posted by 団子 | Comment(0) | SS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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